法人の決算の流れColumn

vol.0028
ラボン博士
今回は、法人(会社)の決算の流れを解説しようと思う。最初に、決算手続の流れと決算時特有の事務処理について説明し、財務諸表の作成目的などにについても触れよう。

決算の手続きの流れと決算特有の事務処理

決算とは、端的には、会社の1年間の事業活動の成果を数字でまとめることを言うが、これによって、その事業年度の会社の経営成績、資産・負債の内容等が集計され、出資者(株主)や金融機関等に報告若しくは公開されることに意義があると言えるのじゃ。

一般的には、年1回の本決算と中間決算の年2回決算が主流(小規模会社は除く)じゃが、大企業( 上場企業)では四半期ごとの財務・業績概況の開示が義務付けられておる。投資家への情報開示は上場企業の重要な義務じゃから当然かもしれないが、これは決算と言うより、投資家に対して業績見通しを示しているというほうが近いかもしれないな。さて、一般的な決算事務の流れと決算時特有の事務処理の内容は以下の通りじゃ。

(1)決算の流れ

本決算は、一般的には以下の作業手順を踏んで進めていくのじゃ。
1、試算表の作成
全ての勘定科目を試算表に集計する作業を通して、仕訳ミス等がないかを検証するのじゃ。
2、決算整理
減価償却、棚卸・貯蔵品の計上、各種引当金の見積・計上等の決算整理を行うのじゃ。
3、精算表の作成
精算表を作成することによって、決算整理を含んだ仕訳内容の検証を行ったうえで、貸借対照表並びに損益計算書の内容を把握するのじゃ。
4、帳簿の締め切り
年度を超えて管理すべき売上金や買掛金、未収金や未払金等の確認を行ない、次期繰越額を決定し、現金出納帳、総勘定元帳、各補助元帳等を完成させて帳簿を締め切る作業じゃ。
5、決算書の作成
当該事業年度の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書を作成する(製造業の場合は、製造原価報告書も必要)のじゃ。

(2)決算時の特別な作業

いわゆる「決算整理事項」と言われる決算期の特別な処理で、(1)の2のことじゃ。減価償却、棚卸・貯蔵品勘定の計上、引当金勘定の見積・計上、経過勘定の設定と計上などが主なものじゃ。それぞれの作業内容は以下の通りじゃ。
決算整理作業 決算事務の内容
(実地)棚卸 期末時点の商品、製品等について、実地棚卸を行い、帳簿棚卸高との数量の相違があれば調整(実地に合わせる)するとともに、商品等の評価を行なって資産価値を算定(棚卸減耗の把握)し、前期繰越高と当期仕入高合計から棚卸高を差引いて当期の売上げに対応する原価を確定させる手続きじゃ。
現金過不足整理 現金出納帳残高と現金有り高を照合し、現金が不足している場合は「雑損失」に、現金が多い場合は「雑収入」に勘定を振り替えて現金勘定を締切る手続きじゃ。
銀行預金残高検証 帳簿残高と預金残高証明書の金額が一致しているか確認し、帳簿残高が少ない場合は、売掛金の入金が反映されていない場合があるので確認。帳簿残高が多い場合は、銀行口座から引き落とされた費用等で帳簿に計上漏れがないか等を検証する作業じゃ。
有価証券評価替え 有価証券を保有している場合、市場価格の著しい下落などが認められたときは、損失を計上して帳簿価額を減額しなければならないのじゃ(満期保有目的を除く)。
引当金の見積・計上 受取手形や売掛金等について、貸倒の可能性を見積もって引当金(貸倒引当金)を計上し、当期の損失として認識する手続きじゃ。このほかに、費用の発生と支払のタイミングのズレから生じる賞与引当金などもあるので、会社の実態に応じて各種引当金の見積・計上が必要じゃ。
減価償却と減価償却費計上 税務署に届け出た方法(定率法または定額法)で、建物、機械、器具・備品等の減価償却資産(固定資産)の減価償却を実施して費用を計上する手続きじゃ。
貯蔵品勘定の計上 収入印紙・切手、その他消耗品等で未使用の残高を貯蔵品勘定に振替え、当期の費用を確定させる手続きじゃ。
費用・収益の確認 費用、収益で計上漏れがないか、また、今期に計上されているもので、翌期に計上すべきものが含まれていないかを検証し、整理することが重要じゃ。


(3)実務上は

実際の日常的な経理事務は、ほとんどの会社が会計ソフトを使用しており、この会計ソフトへの日々の入力で、月次の試算表や期中の損益計算書が同時に作成されているパターンがほとんどじゃ。したがって、決算期末においては、未収・未払と経過勘定といった決算整理事項が正常に処理できれば、適正な決算が組めると言える。 注意が必要なのは、引当金の見積・計上で、根拠が曖昧だと会計上も税務上も利益操作を疑われる場合があることじゃ。恣意的判断が入る余地のある勘定や専門的な分野については、税理士等と相談しながら進めたほうがよい。このほかの手続きにおいては、ソフトへの入力漏れ、取引先への請求漏れや支払漏れなど、単純なヒューマンエラーを見逃さないようにすることが大切じゃ。

2.財務諸表と内容(作成目的)

このような決算整理事項を適切に処理して作成される財務諸表(会社法でいう計算書類)の種類と内容は下記のとおりじゃ。
  財務諸表(計算書類) 作成目的
(1) 貸借対照表(B/S) 決算基準日における「財務状況」を明確にする書類。現金、預金、固定資産、売掛金などの資産(注1)、借入金、買掛金、各種引当金等の負債(注1)の状況を示す。
(1) 損益計算書(P/L) 事業年度における「経営成績」を明確にする書類。営業総利益、管理費、営業外損益、法人税等を算出して純利益まで計算した書類。1年間の事業活動の成果としてどれだけ利益が上がったかがわかる。
(2) キャッシュフロー計算書(C/F) 事業年度における現金及び現金同等物の流入額と流出額及び期末残高を明確にし、資金繰りの状態を公表することが目的。 「営業活動」、「投資活動」、「財務活動」の三つの要素で区分した数値が示される。
(3) 事業報告書 事業年度における計画の達成状況や今後の見通し、将来取り組むべき課題等について整理し、その企業の現状と将来性を示した書類。
(4) 利益処分計算書 当期純利益を含めた未処分利益の処分案。株主配当、内部留保の金額及び内容について株主総会の審議案件として提出する。
(5) 附属明細書 貸借対照表と損益計算書の主要項目に関する明細書。
(6) 注記表 事業年度における特殊事情や数値の大幅な変動に関する理由、会計上の重要な事項などについて説明した書類。
(7) 株主資本等変動計算書 資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式について、事業年度中の動きを示したもので、税務申告書類への添付が必要な書類。
(注1)資産・負債
 資産と言うのは、将来「利益」となり、負債とは、将来「費用」となるものと考えると分かりやすい。例えば、「売掛金」は、決算日時点では売上には計上されているものの資金が回収できていないため「債権」という資産の状態であり、含まれる利益は未だ実現できていないという見方じゃ。買掛金はその逆で、将来必ず支払わなければならないものなのじゃ。

このように、たとえ上場企業ではなくとも、決算の結果として作成すべき書類が何種類もあり、これらの書類を適正かつ正確に作成するための作業が決算なのじゃ。どんなベテラン経理担当でも、決算期になると何となく落ち着かなくなるものじゃ。日常の正確な事務処理が決算期に生きてくるものだから、 日々の積み重ねが大切なのじゃ。




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