収益認識会計基準の画像

前回に引き続き、収益の認識における「代替的な取り扱い」と法人税法上の取り扱いについて説明し、5つのステップに関する解説を終了する。以降、「ポイント制」や「商品券」、「買戻し契約」など、個別の経理を必要とする事項について、「個別の論点」として解説を加えていくこととする。

1、国内販売における出荷基準等の取扱い(履行義務充足時・収益の認識に係る代替的な取り扱い)

国内の販売において、出荷時からその商品または製品の支配が顧客に移転される時までの期間が「通常の期間」である場合、出荷時や着荷時等に収益を認識することができる代替的な取り扱いが認められている。

ここでいう「通常の期間」とは、その期間が国内における出荷及び配送に要する日数に照らして、取引慣行ごとに道理的と考えられる日数である場合をいい、国内の配送においては、数日間程度の取引が多いと考えられる。

2、履行義務充足時収益認識に係る法人税法上の取扱い

履行義務を充足した時点における収益の認識については、法人税法上4つの視点で捉える必要がある。以下、各視点での捉え方について解説する。

2-1、収益の計上時期に係る取り扱い

資産の販売若しくは譲渡、又は役務の提供に係る収益の額は、別段の定め(注1)がある場合を除き、その資産の販売等に係る目的物の引渡しまたは役務の提供の日の属する事業年度の所得額の計算上、益金(税務上の収益)に算入することになる。

また、資産の販売等に係る収益につき、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って、その資産の販売等に係る契約の効力が生ずる日に「近接する日の属する事業年度の確定決算において収益とした場合」には、別段の定め(注1)がある場合を除いて、その事業年度の所得の計算上、益金の額に算入することになる。

端的に言うと、資産の販売等によって収益を認識するのは、モノにあっては引渡しの日であり、サービスの提供にあっては、その役務が終了した日というのが原則なのじゃが、この原則以外であっても、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従ったものであれば、その時点で収益を認識することも可としているわけじゃ。

ちなみに、一般に公正妥当と認められる会計処理には、「企業会計原則」、「個別会計基準(金融商品会計等々)」、「税務基準」、「判例」などが全て含まれるから、非常に幅広く捉えなければならないのじゃ。また、その処理法を「毎期継続適用」していることという文言がついて回ることも、これまでの解説の中で何度も登場しているので、気付いた読者もいるのではないかな? 一般に公正妥当・・・ときて、このあたりの事情がピンとくるようなら、なかなか会計センスのある経営者といえる。

このように、原則的取扱いと会計慣行に従った処理があるが、法人税法上の益金の額の認識時期についても、原則と会計慣行どちらも認容(税務上認められるという意味)されることになる。

(表1)別段の定めに関する(注1)

(注1)における別段の定めとは、法人税法等で定められた次の事項を指すのじゃ。
法人税法第61条(短期売買商品等の譲渡損益及び時価評価損益)
同法第61条の2(有価証券の譲渡損益及び時価評価損益)
同法第62条の5第2項(収益及び費用の帰属事業年度の特例)
同法第63条(リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度)
同法第64条(工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度)
所得税法の一部を改正する法律附則第28条を根拠とした、改正前の法人税法第63条(長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度)※税法で定められた事項じゃが、項目が多いため個別の説明は省略する。このあたりの具体的な内容は顧問税理士からレクチャーを受けると良い。

2-2、収益認識会計基準との関係

法人税法上の取扱いについては、前項で説明した内容に鑑みれば、収益認識会計基準に基づく原則的な処理(検収日基準、作業結了日基準等)は認容されることになる。また、出荷日基準や着荷日基準も同様に認容されるが、引渡し日等に近接する日の属する事業年度の確定決算で収益処理することも認められる(本稿2-1で登場)ため、「契約効力発生日基準」や「検針日基準」などの処理についても、一般に公正妥当と認められる会計処理に該当し、原則として認められることになる。

2-3、捗状況に応じた収益計上

一定の期間にわたって充足される履行義務であって、その進捗度を合理的に見積もることができる場合は、進捗度に応じて収益計上する処理が認められる。この見積もり方法には「インプット法」と「アウトプット法」の2種類があり、その内容は次の通りじゃ。

進捗度の見積り方法 内容 測定例
インプット法 使用されたインプットが、履行義務を充足させるために予想されるインプットの合計に占める割合に基づいて収益を認識する方法。
  1. 消費した資源
  2. 発生したコスト
  3. 費やした労力
アウトプット法 現在までに移転した財またはサービスの顧客にとっての価値を直接的に測定し、契約の残りの財またはサービスとの比率に基づいて収益を認識する方法。
  1. 完了部分の調査
  2. 経過期間
  3. 生産単位数
  4. 達成した成果やマイルストーン
※インプットとアウトプット
ここでいうインプットとは、費用(コスト側)を意味する。費用側に着目して、全体の原価予算のうち、どれだけのコストが発生したかによって進捗度を求める方法じゃ。かたやアウトプットとは、出来高に着目して、進捗度を測定する方法を言うのじゃ。

2-4、長期割賦販売に係る延払基準の廃止と経過措置について

会計上、割賦販売における割賦基準に基づく収益認識は認められないこととされているが、法人税法上も、割賦販売における回収日は、本稿の2-1で述べた「契約の効力が生ずる日に近接する日」には該当しないため、認められないとされておる。

なお、2018年度の税制改正において、一定の経過措置が講じられたうえで延払基準は廃止が決定している。これによって、対象となる資産の販売等がリース譲渡に限定され、このリース譲渡を除き、原則として、長期割賦販売等に該当する資産の販売等をした場合は、その資産の販売等に係る目的物の引渡しまたは役務の提供の日の属する事業年度において、その資産の販売等に係る収益の額および費用の額を益金の額及び損金の額に算入することになる。

経過措置については、2018年4月1日前に長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行った法人については、2023年3月31日までに開始する各事業年度について、延払基準によって収益の額及び費用の額を計算することができることにするとともに、2018年4月1日以後に終了する事業年度において、延払基準の適用をやめた場合の繰延割賦利益額を10年均等で収益計上する等の措置が講じられることとなった。

3、個別論点

ここからは、収益認識会計基準が適用されることにより、従来の実務処理と異なる処理が求められる取引について、個々にその内容を見ていこうと思う。なお、従来とは異なる会計処理が求められる取引のうち、一定の要件を満たすものについては、法人税法上も同様の取扱いが認められることになる。

3-1、ポイント制度の取扱い

ポイント制度に係る従来の実務と収益認識会計基準における取扱い上の相違点について見てみよう。ポイント制度の従来の実務上の取扱いは、将来発生するポイントとの交換に要すると見込まれる額を引当金勘定で計上されることが多かった。

収益認識会計基準においては、商品やサービスの提供に付随して付与されるポイントや値引券などは、追加的な財またはサービスを無料または割引価格で取得できる顧客のオプションとして取り扱われることとなる。このため、ポイント制度においては、そのポイントが重要な権利を顧客に提供すると判断される場合、そのポイント部分については履行義務として識別し、収益の計上が繰り延べられることになる。この場合、顧客に付与するポイントは、従来のような引当処理は認められないことになる。

ポイントは、商品の販売とは別個の履行義務とされため、取引価格を当初販売した商品とポイントにそれぞれの独立販売価格の比率で配分し、各履行義務を充足した時点、つまり、商品については販売された時点、ポイントについては利用された時点で収益を認識することになるのじゃ。

ポイントの会計処理については、付与した時点では履行義務を充足していないため、負債として認識し、ポイントが利用されるにしたがって負債から収益に振り替える処理となるのじゃ。多種類のポイント制度を導入している場合、ポイント制度ごとの独立販売価格を算出しなければならないため、事務負担の増加が予想されるので、注意が必要じゃ。

4、まとめ

次回は、ポイント制度の続きかた始める。なお、前半で解説した収益の計上時期に係る取り扱いについては、見積もり方法の選択などもあるため、税理士とのコミュニケーションが重要になる。一旦採用した会計手法はその後も継続適用することが原則となるため、必ず税理士からのアドバイスが必要となるためじゃ。

顧問税理士がいないようなら、決算までに顧問契約を締結しておいたほうがよい。税理士探しの第一歩は、税理士紹介会社に相談することじゃ。リクエストに応じて自社に最適な税理士を紹介してくれるはずじゃ。

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