復興特別所得税の概要と役目Column

vol.0012
ラボン博士

今回は、「復興特別所得税」をいう税に焦点を当ててみようと思う。さて、どんな税だろうか


1、復興特別所得税とは

この税の目的は、東日本大震災からの復興のための財源を確保することにあるのじゃ。根拠となる法律は、通称:復興財源確保法(正式名:東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保関する特別措置法・2011年12月2日交付)と呼ばれ、「復興特別所得税」及び「復興特別法人税」が創設された。


法人に係る「復興特別法人税」は、当初は2012年4月1日から2015年3月31日までの事業年度を対象としていたが、2014年の消費税引き上げを機に、1年前倒しで廃止されている。このため、これ以降は個人について見ていこうと思う。

ラボン博士

2、個人に係る復興特別所得税

2-1納税義務者・課税対象等

まず、納税義務者については、「個人で所得税の納税義務のある人は、復興特別所得税も併せて納める義務がある」と国税庁は説明していて、事業者・給与所得者の別に関わりなく、所得税を納付している人すべてが対象となるのじゃ。また、課税対象期間は、個人の場合は、2013年から2037年までの25年間で、法人に比べると随分期間が長くなっているのじゃな。

これにはいろいろと議論があったようじゃ。消費税率を上げるとすると、震災地域の方々への負担増とともに、低所得者により多くの負担がかかる「逆進性」が問題となった。加えて、消費税は社会保障と税の一体改革の主役でもあったから、復興財源としての整理がしづらい面もあったんじゃな。

また、法人税については、企業への長期に及ぶ過度な負担は、グローバル化が進む経済環境下では日本企業の優位性が損なわれ、結果として国力の衰えにつながるとして、企業単独での課税負担増は敬遠されたようじゃ。

一方で、所得税には、もともと稼ぐ能力に応じて負担が増えるという累進性があり、国民全体から能力に応じた負担を求めることができるという性格が備わっていた。また、復興は元の状態に戻すことが目的で、将来へ向けて新たな富を生み出すわけではないことから、新規の国債発行で後世代へツケをまわすようなことをせず、現役世代に復興財源を求めるという意味でも所得税に白羽の矢が立ったようじゃ。


2-2基準所得税額

このような経緯で、個人については、2013年から2037年までの各年分の基準所得税額が、復興特別所得税の課税対象となり、下記の区分で、平成25年1月1日以降に支払いを受ける給与等から源泉徴収されているんじゃ。

区分 基準所得税額
住居者 非永住者以外の住居社 全ての所得に対する所得税額
非永住者 国内源泉所得及び国内源泉所得のうち国内払のもの又は国内に送金されたものに対する所得税額
非永住者 国内源泉所得に対する所得税額

※居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所のある個人を言う。非永住者とは、居住者のうち日本国籍を有しておらず、かつ過去10年以内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人を言う。非居住者とは居住者以外を言う。

2-3課税標準と復興特別所得税額の計算

復興特別所得税の課税標準は、その年分の基準所得税額で、復興特別所得税額は次の計算式で求めることになるのじゃ。

復興特別所得税額=基準所得税額×2.1%
基準所得税額が100,000円ならば、復興特別所得税額は2,100円となる。


2-4確定申告(還付を含む)と源泉徴収及び年末調整

期間中の各年分の確定申告については、所得税と復興特別所得税を併せて申告しなければならない。確定申告書の様式には、基準所得税及び復興特別所得税額を記載する欄が設けられており、計算手順も記載されているので、そう難しいものではない。事業所得者のほか、給与所得のみの人が高額医療費の負担等によって源泉税の還付を受けようとするときや、給与所得とその他の所得がある場合に確定申告が必要となるので、注意が必要じゃ。

源泉徴収義務者(会社)は、給与その他源泉徴収をすべき所得を支払う際、その所得について所得税及び復興特別所得税を徴収し、納付しなければならない。また、所得税の年末調整をする源泉徴収義務者は、平成24年から平成49年までの各年分において、所得税及び復興特別所得税の年末調整を併せて行うことになる。給与所得者にとっては必要な手続きは全て会社が行うので、所得税に対する2.1%がさらに税金として徴収されていることだけを知っておけばいいということじゃ。


3、まとめ

このほか、投資信託等の分配金や譲渡益に係る所得税に対してもこの税は課されて(これは法人も含む)おり、課税範囲は案外と広い。いずれにしても、被災地の一刻も早い復興を成し遂げるためという目的がはっきりしている分、納税者にとっても納め甲斐のある税金ではないだろうか。





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