関税とは?関税の基礎知識と特徴

目次

関税...普段の生活では馴染みの少ない税金の一つじゃのお。これは海外から商品を輸入するときに課せられる税金なのじゃ。

輸入など自分には関係ない!と思っていても、インターネットの普及で海外の通販サイトから商品を購入することが簡単にできる時代じゃ。

いつ自分が関税を支払うことになってもおかしくないのじゃ。そのためにも「関税」とはどういう税金なのか、一緒にみていこう。

1、なぜ関税という税金があるのか?

まず、なぜ関税があるのかということを説明しておこう。主に次の2つの理由があるのじゃ。

1-1、国の歳入を増やすため

関税は「国税」であり、日本国の歳入となっている。しかし、収入として多くはなく、約1.05兆円で国税収入全体の約1.9%に過ぎないのじゃ。(2016年度資料)

1-2、国内の製品を守るため

スーパーへ買い物に行き、野菜や肉が日本国内のものより輸入品の方が安いなあと思う事があるじゃろう。海外の方が人件費などのコストの低さや広大な土地での大量生産などが理由で商品原価そのものが安いことが多いのじゃ。
しかし、安い輸入品を低い価格のまま、スーパーで販売してしまったら、日本製のものが売れにくくなってしまうじゃろう。だから、輸入品に関税をかけて店頭で販売される価格をアップさせているのじゃ。そうすることで、国内製品を保護しているのじゃな。

2、関税はどのように計算される?

関税の基本的な計算方法は次のとおりじゃ。

関税 = 課税価格 × 関税率

課税価格は、商品価格に運賃や保険料を加算したものになる。

計算式中の「関税率」、なんと数千もの品目分類がありその品目ごとに適用されるのじゃ。肉、野菜、飲料、アルコール、たばこ、石灰、毛皮、木材、車両、家具など、とにかく細かく分類されそれぞれに税率が決まっておるのじゃ。

しかし、すべての輸入品に上記のような細かい分類で税率を課すことは、輸入者にも税関にも負担が大きい。そこで、課税価格の合計額が20万円以下の少額輸入貨物は、簡易税率を適用できるのじゃ。

3、少額輸入貨物の簡易税率とは?

輸入されるもののうち課税価格の合計額が20万円以下のものを「少額輸入貨物」と呼ぶのだが、そのうち一般貨物(国債宅急便含む)や郵便小包を利用したものには、「簡易税率表」に基づき課税されるのじゃ。

「簡易税率表」は、品目分類6区分とアルコール飲料の区分から成り立っておる。例を示すと次の通りじゃ。

主な品目例 関税率
1.酒類
(1)ワイン
(2)しょうちゅう等の蒸留酒
(3)ワインクーラー、清酒など
1ℓにつき70円
1ℓにつき20円
1ℓにつき30円
2.トマトソース、アイスクリーム、毛皮 など 20%
3.コーヒー、茶、ゼラチン など 15%
4.動物、食料品(肉、魚、野菜、ココアなど)、
絹織物、衣類、衣類付属品 など
10%
5.精油、化粧品類、洗剤、プラスチック製品、傘、
ガラス製品、寝具、家具 など
3%
6.ゴム、紙、陶磁製品、鉄鋼製品、すず製品など 無税
7.その他のもの 5%

(関税定率法第3条の3参照)

4、個人輸入にも関税はかかるの?

業者であっても、個人であっても輸入をすれば、関税を納める義務がある。しかし、個人輸入であるなら「個人使用目的に使用される関税の減免制度」というお得な制度があるのじゃ。

あくまでも、個人で使用するために輸入した場合に適用される制度じゃぞ。では、詳しく見てみよう。

上記でも触れたが、関税は、商品価格に運賃や保険料を加算した「課税価格」に「関税率」を掛けて計算される。個人使用目的の場合、この課税価格の計算に特徴があるのじゃ。

  • 課税価格に運賃や保険料は含まない。
  • 商品小売価格に「0.6」をかけたものが課税価格になる。
  • 課税価格が1万円以下なら免税となる。

海外のネットショップで商品を購入するとしよう。現地の通貨単位(ドルやユーロなど)で表示されているはずじゃ。それに税関の公示レートを掛けたものが日本円ベースの商品小売価格じゃ。これに0.6をかけて1万円以下なら免税というわけじゃ。

一つ一つの商品が1万円以下でも、一度に送られてくる商品の合計が1万円を超えたら免税ではないので、注意が必要じゃ。

5、税額の確定方法には2つの方法がある

5-1、申告納税方式

輸入する人が税関長に対して「輸入申告」をして納付する税額が確定する方法じゃ。②賦課課税方式(下記)により課税される貨物以外のすべてに対して、この「申告納税方式」が適用されるのじゃ。

5-2、賦課課税方式

基本的には①の申告納税方式により税額が確定するが、次のような場合は、賦課課税方式により税関長が税額を確定させ、輸入者に通知されるのじゃ。

  • 入国者の携帯品や別送品、引越荷物
  • 郵便物(課税価格が20万円以下のもの)など

関税の紹介をしてきたが、ザックリとした概要は分かってもらえたかのう。税率の分類も多岐に渡り複雑じゃ。迷うことがあったら、税関や通関士に相談することをお勧めするぞ。

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