その他の様々な税金(入湯税・狩猟税・鉱区税)

目次

今回は、かなり特殊な税金を集めてみた。聞いたことのあるものもあると思うが、ちょっと見てみようかのう。

1、入湯税

入湯税というのを聞いたことがあるかな? 温泉旅館や施設を利用したことがあれば、領収書で見たことがあると思う。これは、地方税法の目的税のひとつで、温泉(鉱泉)を利用した入浴客が払う税金じゃ。

使い道は、環境衛生施設や鉱泉源の保護管理、観光振興などに利用される。公衆浴場でも入湯税がかかる施設とかからない施設があって、スーパー銭湯や健康ランドは入湯税がかかり、銭湯は入湯税がかからないのじゃ。金額は、総務省は150円を目安としているが、税額は自治体が決めることができる。山中、山代、片山津という3大温泉郷を抱える石川県加賀市の条例を参考に見てみよう。

石川県加賀市税条例
第3章目的税 第1節 入湯税
(入湯税の納税義務者等)
第140条 入湯税は、鉱泉浴場における入湯に対し、入湯客に課する。
(入湯税の課税免除)
第141条 次に掲げる者に対しては、入湯税を課さない。

  1. 年齢12歳未満の者
  2. 共同浴場又は石川県公衆浴場基準条例第2条第1号に規定する普通公衆浴場に入湯する者
  3. 学校教育の一環として教師の引率の下に行われる行事に参加する者
  4. 国及び地方公共団体、社会福祉法人等が設置し、地域住民の福祉向上を図ることを目的とする施設を利用する者
  5. 利用料金が1,000円未満の鉱泉浴場に入湯する者
  6. (前各号に掲げるもののほか、市長が特に認める者

(入湯税の税率)
第142条 入湯税の税率は、一の鉱泉浴場1人1日について、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする。

  • 宿泊を伴う入湯客 150円
  • 宿泊を伴わない入湯客 50円
  • 税額については、日帰りで多少の開きはあるものの、他の温泉地も大体同じような水準じゃ。

    2、狩猟税

    狩猟税と言うのは、各都道府県知事から狩猟者の登録を受ける者に課される地方税じゃ。目的税で、税収は鳥獣の保護および狩猟に関する行政の実施費用にあてられることになっとるのじゃ。

    しかし、「鳥獣の保護」というのが微妙なところでな、最近は、保護よりも鳥獣による被害対策のほうが重要になってきているようじゃ。平成27年度の狩猟税に係る税制改正で、環境省は次のような文書を出している。

    https://www.env.go.jpより引用)

    鳥獣被害対策の推進を図るため、以下のとおり、狩猟税の減免措置を講ずることとされた。 狩猟税について、次の措置を平成 31 年3月 31 日まで講ずる。

    1. 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律に規定する対象鳥獣捕獲員が受ける狩猟者の登録に係る狩猟税を非課税とする。
    2. 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部改正により創設される認定鳥獣捕獲等事業者の従事者が受ける狩猟者の登録に係る狩猟税を非課税とする。(注)平成 27 年5月 29 日以後に狩猟者の登録を受ける者に対して課すべき狩猟税について適用する。
    3. 狩猟者登録を申請した日前1年以内に、鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害の防止等の目的で、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律第9 条第1項の許可を受けてその許可に係る捕獲に従事した者が受ける狩猟者の登録に 係る狩猟税の税率を通常の税率の2分の1とする。
    4. その他所要の措置を講ず
    5. この措置は平成31年3月31日までの時限措置となっているが、環境省は平成31年度税制改正の要望としてこの措置の延長を要望しているのじゃ。非課税にしたり軽減措置を講じたりして狩猟しやすくしているのは、それだけ、鳥獣被害が深刻化しているということじゃ。イノシシの被害なんかがよくテレビで報じられているように、地域によっては被害が深刻じゃ。保護と被害防止のバランスというのは難しいものじゃ。

      3、鉱区税

      鉱区税と言うのは、都道府県が鉱区における鉱業権者に課する普通税で、課税標準は鉱区の面積または砂鉱区の延長もしくは面積で、一定税率じゃ。地下の埋蔵鉱物は、たとえ土地所有者であっても、勝手に掘採することはできない。

      しかし、鉱業権者には、その設定された鉱区において鉱物を掘採し取得する権利が与えられているのじゃ。鉱区税は、この特権に対する見返り負担として課されるものといわれておる。以下、地方税法における鉱区税の主な規定を引いてみる。

      第九節 鉱区税
      第百八十条 鉱区税の税率は、次の各号に掲げる鉱区について、それぞれ当該各号に定める額とする。
      一 砂鉱を目的としない鉱業権の鉱区
      試掘鉱区 面積百アールごとに 年額 二百円
      採掘鉱区 面積百アールごとに 年額 四百円

      二 砂鉱を目的とする鉱業権の鉱区
      面積百アールごとに 年額 二百円

      2 石油又は可燃性天然ガスを目的とする鉱業権の鉱区についての鉱区税の税率は、前項の規定にかかわらず、同項第一号に規定する税率の三分の二とする。

      どうじゃな。国税と地方税を織り交ぜて変わり種を集めてみたが、税金への理解は深まったかな?

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