会社の会計シリーズ(基本編)貸借対照表その3

会社の会計シリーズ(基本編)貸借対照表その3

前回までで貸借対照表の「資産の部」についての説明をあらかた終えましたので、今回は「負債と純資産」の部について解説します。負債と純資産は貸方勘定で、貸方勘定は基本的に会社がどこからお金を調達してきたかを記録する部分であり、そのお金が最終的に誰に帰属するかも表していると考えればよいでしょう。

目次

負債の部(流動負債と固定負債)

負債の部も、資産同様に流動負債の部と固定負債の部に分かれています。以下、それぞれの勘定科目とその性質について解説します。

負債の部の勘定科目と流動性

負債の部

流動負債固定負債
支払手形
買掛金
短期借入金
未払金
未払法人税等
未払消費税等
未払費用
前受金
預り金
前受収益
仮受金
仮受消費税等
賞与引当金
繰延税金負債
社債
長期借入金
退職給与引当金
負の”のれん“
繰延税金負債

負債の「流動」と「固定」についても資産の場合と同様に、資金化までの期間で分けています。流動負債は、通常の営業で発生する負債か、あるいは1年以内に返済する負債のことであり、そうでない負債が「固定負債」となります。ただ、資産の場合と違うのは、資産は流動性が高いほうがよかったが、負債の場合は、固定負債の方が流動負債よりも望ましいという点です。返済期限が短いとお金の滞留期間が短いため、資金繰りが厳しくなる原因となるからです。

流動比率

流動資産と流動負債を比較することで、「会社の安全性」を見ることができます。ここで言う安全性とは、「会社が破綻せずに借金を返せる」という意味です。安全性には、「短期の安全性」と「長期の安全性」があるが、このうちの「短期の安全性」について、流動資産と流動負債を比較することで分析することが可能です。

流動負債というのは、すぐに返済(支払)期限が到来するので、これを支払うことができるだけのお金を持っていなければならないということになります。言い換えれば、流動負債より多くの流動資産を持っていれば、当面の資金繰りに問題はないということです。この流動資産が流動負債をどの程度上回っているかが、「会社の安全性」を示す一つの指標となります。これを流動比率と言い、次の計算式で求めることができます。

流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債

この流動比率は、200%以上確保することが望ましいと言われていますが、流動資産の中にはすぐに資金化できないものも含まれておるから、安全性分析を厳密にしたいときは、流動資産から「棚卸資産」を除いた「当座資産」と「流動負債」を比べる方法を使います。それが、「当座比率」といわれる指標で、次の計算式で求めることができます。

当座比率 = 当座資産 ÷ 流動負債

当座比率は、100%以上が望ましいと言われています。

このように、流動比率と当座比率を使って会社の当面の安全性をチェックすることができますが、流動資産と言っても数日以内に資金化できるものと11カ月後(1年未満なので)まで資金化できないものが混在しているため単純な見方は禁物です。

また、流動負債の方にも、数日で返済が必要なものから11か月後まで返済期が到来しないものが混在しているのが実態なので、この二つの指標は、あくまでも会社の状態が悪化したときのシグナルを感知するためのアンテナのようなものだということを知っておく必要があります。

純資産

貸借対照表の最後の「純資産の部」について解説します。純資産の部には、株主が払い込んだ資本(出資金)の部分と、会社が利益をあげて貯めてきた部分の2種類があります。株主が払い込んだ部分は「資本金」と「資本準備金」で、会社が利益を貯めてきた部分が「利益剰余金」といって、利益準備金、その他剰余金(〇〇積立金など)の勘定科目で管理されています。

会社は毎事業年度ごとに利益を上げると、それをもとに株主に配当をするが、稼いだ利益全てを配当に回してしまうと、事業規模拡大で資金が必要となっても、自己資金として使えるお金がなくなってしまうため、株主総会で承認してもらうことで利益の一部について、配当財源から外して、目的を定めて積み立てることができるのです。

この部分が、いま話題になっているいわゆる内部留保と言われる部分です。内部留保が大きくなればなるほど財務基盤が強化されていきますが、一方で本来ならば配当として株主に還元されるはずのお金が眠っている状態ですから、株主にとっては、眠らせたお金を何倍にも増やしてもらわないと困ります。それができないなら、株主に配当するかそのお金を返すのが望ましいと言えます。

このお金を返すという行為が、自己株式の取得です。株主から会社が自分の株式を買い取るのですが、会社は自分の株式を持つことが制限されているため、取得した株式とともにその株式に相当する資本金の額を帳簿から消さなければなりません。株主に出資金を返して資本を減らすのです。

固定比率

固定資産と固定負債及び純資産から、長期の安全性を見ることができます。長期の安全性の見方は、「固定資産」が「固定的なお金で賄われているか」を確認するものです。工場や建物などに投資されたお金は、何十年(法定耐用年数)もかけて、その工場などから生み出される収益で回収していくものです。

この投資資金はどこから出たものかと言うと、返済期間の長い長期の借入金や、返済の必要のない自己資本ということになります。借入金は負債でいずれは返さなければならないお金ですが、自己資本は最終的には株主の持ち物ということにはなるが、返済日が決まっているわけではありません。そこで、固定資産と自己資本の比率を見て長期的な安全性をチェックする数値がありますが、これを「固定比率」と言います。

固定比率は、固定比率=固定資産÷自己資本で求められ、この数値が低いほど自己資本で賄われている割合が高いことになり、長期的な安全性が高いと言うことになります。長期借入金のような固定負債を含めて見る場合は「固定長期適合率」と言って、固定資産÷(自己資本+固定負債)と言う計算式で求めます。この数値が100%を超えると危険水域ということになります。

長期的な資金で賄いきれないと言うことですから、短期資金で補わなければならず、そうなると、利益はその短期資金の利払いと返済に回ってしまい、資金繰りがどんどん圧迫されていくことになります。このような状態になることが分かれば、利益が出ても配当を抑えて内部留保を積み増し、自己資本を厚くしていこうとする会社の目的が汲み取れるのではないでしょうか。

自己資本比率

長期的な安全性を見る指標として、「自己資本比率」というのがあります。これは、総資産に対する自己資本の割合を示す指標で、基本的に数値が大きいほど経営状態が良いことになります。ただし、少ない資本で大きな利益を上げることが求められる現代は、レバレッジと言って借入金のような負債を大きくして(負債で調達した資金を多く使って)、株主利益を高めようとする動きが強いです。株主資本が小さいほうが、一人の株主に還元される利益(配当)が大きくなるからです。

これは欧米的な考え方で、日本の企業はリーマンショックの経験からとにかく内部留保を厚くして、万が一再度リーマン級の金融危機が起きたとしても、びくともしない財務基盤構築に邁進してきた経緯があります。このため、毎年相当額の利益が上がっても、設備投資の水準が低く抑えられており、これが景気が本格的に上向かない原因の一つと言われ、政府が内部留保を設備投資に回すよう強く働きかけているのが現状です。いずれにしても、最も重要なのは資金の調達方法のバランスです。特定の要素が大きすぎても、小さすぎてもバランスを欠いて様々な弊害が起きることとなります。

まとめ

今回から経営分析用語も出てくるようになりました。これら用語の知識は税務とは直接関係はないですが、経営者にとっては知っておくべきものです。もちろん、税理士はこのあたりの知識も豊富ですので、配当金や内部留保金額の決定を含めアドバイスをもらえると心強いです。

決算期が近い会社の場合、決算だけでも見てもらうのも可能ですから、一度税理士紹介会社に相談してみると良いでしょう。

運営・監修者

今井 俊樹

ユーザーが本当に良い選択ができるマッチングサービスを作りたいという思いから、「税理士紹介ラボ」の立ち上げを起案。企業間のアライアンス事業や、WEBサービスの企画・運営を手掛けた経験を基に、依頼者と税理士がwinwinの関係になれるサービスを提供。500名以上の税理士と面談を行い、毎年3000件以上のマッチングを成功させている。

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