会社の会計シリーズ(基本編)複式簿記その3

前回は財務諸表の役割を解説して終了しているので、今回は財務諸表の中でも最も目にすることの多い「貸借対照表」「損益計算書」そして、日々の取引の記録である「残高試算表」について、仕訳を交えながら解説していきます。
仕訳による勘定科目ごとの記録
会社の事業活動の成果は、日々の一つ一つの取引を、複式簿記を用いて「仕訳」という手法で記録するのですが、この仕訳を行うことで勘定科目ごとの金額が累計されていく仕掛けになっています。そして、この各勘定科目に累計された金額を決算期にまとめることで、財務諸表が作成される仕組みになっています。
以下、仕訳例を示して、勘定科目に金額が積みあがっていく仕組みを見てみましょう。
〔取引1〕銀行から500の融資を受けた。
《仕訳》 (借方)現金・預金 500 (貸方)借入金 500
〔取引2〕商品を仕入れ、品代100を現金で支払った。
《仕訳》 (借方)仕入 100 (貸方)現金・預金 100
〔取引3〕従業員に給料100を現金で支払った。
《仕訳》 (借方)給与 100 (貸方)現金・預金 100
〔取引4〕商品を販売し、売上高200を現金で受け入れた。
《仕訳》 (借方)現金・預金 200 (貸方)売上高 200
※以上4つの取引において発生した勘定科目を、それぞれの要素に照らして増減を示すと以下のようになります。
| 勘定科目 勘定の要素 | 現金・預金 (資産/借方) | 借入金 (負債/貸方) | 仕入 (費用/借方) | 給与 (費用/借方) | 売上 (収益/貸方) |
|---|---|---|---|---|---|
| 取引1 | +500 | +500 | +100 | +100 | +200 |
| 取引2 | -100 | ||||
| 取引3 | -100 | ||||
| 取引4 | +200 | ||||
| 残高 | 500 | 500 | 100 | 100 | 200 |
これを財務諸表(貸借対照表と損益計算書)にまとめると、以下のとおりとなります。
| 貸借対照表 (借方) 現金・預金 500 (貸方) 借入金 500 |
| 損益計算書 (借方) 仕入れ 500 給与 100 (貸方) 売上 500 |
なお、これは仕組みを理解しやすくするためのイメージであって、実際の損益計算書の表示形式は異なります。実際に使用される損益計算書の一般的な様式は下記の通りです。
損益計算書様式
| 当期事業年度 | 前期事業年度 | ||
| 売上高 売上原価 | 1) 2) | ×××× | ×××× |
| 売上総利益 | 3)=1)-2) | ×××× | ×××× |
| 販売費及び一般管理費 | 4) | ×××× | ×××× |
| 営業利益(営業損失) | 5)=3)-4) | ×××× | ×××× |
| 営業外収益計 | 6) | ×××× | ×××× |
| 営業外費用計 | 7) | ×××× | ×××× |
| 経常収益(経常損失) | 8)=5)+6)ー7) | ×××× | ×××× |
| 特別利益 | 9) | ×××× | ×××× |
| 特別損失 | 10) | ×××× | ×××× |
| 税引前当期純利益(純損失) | 11)=8)+9)ー10) | ×××× | ×××× |
| 法人税、住民税及び事業税 法人税等調整額 | 12) 13) | ×××× | ×××× |
| 法人税等計 | 14)=12)+13) | ×××× | ×××× |
| 当期純利益(純損失) | 15)=11)ー14) | ×××× | ×××× |
なお、上記の損益計算書の各勘定科目は大科目であり、販売や一般管理費、営業外収益及び費用、特別利益及び特別損失等にはそれぞれに設定された中科目・小科目の勘定科目を集計した額が記載されます。
残高試算表
勘定科目全てを集計して表にしたものを残高試算表といいます。これは、財務諸表ではないですが、日々及び月次で取引の内容を確認するために必要な帳票です。日々整理するものを「日計残高試算表」、月次で整理するものを「月計(月次)残高試算表」といいます。日々使用するのは、その日の取引総額を確認するとともに、貸借が一致しているかを確認するためにも使用します。この様式は、上半分が「貸借対照表」で、下半分が「損益計算書」として表されているので、日々又は月次でも財務諸表の代わりとして活用できます。
残高試算表のイメージは次のとおりです。
残高試算表
| 資産 | 負債 |
| 純資産(資本) | |
| (重なる部分) | |
| 費用 | 費用 |
貸借対照表と損益計算書が重なる部分があることがわかります。この重なる部分は、収益から費用を引いた「利益」相当分で純資産に組み込まれていく部分です。しかし、これはあくまでも利益が出ているときの話しで、逆に純資産(資本)がマイナスになる場合もります。いわゆる「債務超過」の状態じゃな。これをイメージで示すと次のように表すことができます。
| 資産 | 負債 |
| マイナスの純資産(資本) |
これは、株主から預かった「資本金」を毀損(食いつぶし)しているということになりますので、配当も無くなりそれを放置して経営改善がなされなければ、行き着く先は株の無価値化→倒産ということになります。このように、財務諸表や残高試算表といった計算書類は、経営状態をチェックするという重要な役割を担っていることがわかるでしょう。
まとめ
今回の解説内容をまとめると以下の通りです。
1)貸借対照表では、借方(左側)に資産、貸方(右側)に負債と純資産が記載され、貸借(左右)は常に一致する。
2)損益計算書では、借方(左側)に費用、貸方(右側)には収益が記載され、その差額は損益として記録される。
3)残高試算表とは、すべての勘定残高を集計したものであり、その貸借は常に一致する。
4)債務超過とは、負債が資産を上回って、純資産(資本)がマイナスの状態になることを言う。
次回以降、少しずつ実務的な内容に入っていきますが、この記事だけ読んでいても、なかなか実感を伴なった学習にはなりにくいと思います。顧問税理士がいれば、定期的に自社の財務諸表や残高試算表を見ながら、質問したりレクチャーを受けたりという機会があるので、会計の知識も身に付きやすいでしょう。個別に相談できる税理士がいない場合は、顧問契約を締結するかどうかは別としても、「相談できる税理士」を確保しておくことが必要です。税理士紹介サイトなら無料でお望みの税理士を紹介してくれるので、一度相談してみるのはいかがでしょうか。

今井 俊樹
ユーザーが本当に良い選択ができるマッチングサービスを作りたいという思いから、「税理士紹介ラボ」の立ち上げを起案。企業間のアライアンス事業や、WEBサービスの企画・運営を手掛けた経験を基に、依頼者と税理士がwinwinの関係になれるサービスを提供。500名以上の税理士と面談を行い、毎年3000件以上のマッチングを成功させている。
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