税理士との顧問契約の必要性

今回のテーマは、税理士との顧問契約についてです。
そもそも、高いお金を払って税理士と顧問契約を結ぶ必要があるのか?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、個人事業主で行けるとこまで行くというレベルなら、敢えて税理士と顧問契約を結ぶ必要はないかもしれません。しかし、少なからず従業員がいて事業規模の拡大にもある程度意欲があるのなら、顧問税理士ぐらいは置かないと、ステークホルダーから会社に対する信頼は得られませんし、何より、事業規模拡大に伴って変化する会計と税務の問題に対処しきれなくなっていく可能性があります。事業規模の拡大で、まず税制面の影響が出るのが「消費税」の問題で、消費税と言うのは、単純なように見えて、実はかなり複雑な税です。
このあたりのことも含めて、4つの視点で顧問税理士の必要性について考えてみましょう。
税理士の独占業務という視点から
税理士法で定められた税理士の独占業務とは、
- 税務代理
- 税務書類作成
- 税務相談
1には、税務調査時に申告者を代理して対応することが含まれ、3には、税理士業務に付随するものとして、財務書類の作成、会計帳簿の記帳代行、その他財務に関する事項が含まれます。また、2は、税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、不服申立書、その他関係法令に基づく書類作成業務ですから、この3つの独占業務とは、税務に関するほとんどのことを、申告納税義務者に代わって行うことができるということになります。
まず、このことを前提として税理士との関係を考えることが大切で、目先の顧問料の高い・安いという話しはそのあとにしましょう。要するに、この3つの作業を社長を含め社内で賄うことができるなら、税理士は不要だと言うことになります。適時・的確な記帳を行うとともに、税法に基づいた申告書を正確に作成し、納税する。また、その後の税務調査において、調査官からの専門的な質問に回答することができる体制が備わっていないなら、何らかの形で税理士の関与が必要になってきます。
消費税の課税事業者という視点
次に、普段は意識しないものの、いざ事務処理となると混乱する例を挙げてみます。
消費税の事務と言うのは、本則で行うとかなり複雑なもので一口で言えば、仮受消費税と仮払消費税と言う勘定を設けて日常的に管理し、最終的には差し引きして納税するという手続きなので、単純作業に聞こえるかもしれませんが、仮受消費税も仮払消費税も税率(現行10%)どおりに管理できるかということが最大の難点です。
売上や仕入れには課税取引だけではなく、「非課税取引」、「不課税取引(課税対象外取引)」という、言葉だけ聞くと違いの分かりにくい取引があります。たとえば、「不課税取引」というのは、消費税には馴染まない取引のため「消費税の世界」から除外しなければならないですし、「非課税取引」というのは、消費税の計算には入れるけど税金がかからない取引です。詳細は省きますが、これらは厳密に対処しないと会社の利益を損ねることにもつながるので要注意となります。
また、例えば売上高5000万円以下の時点で、簡易課税制度の適用を受けたとしても、事業が順調ならいずれは本則適用となって適切な経理処理と正確な消費税の申告・納税が義務付けられることになります。簡易課税制度は言ってみれば「どんぶり勘定」なので、経営そのものもどんぶり勘定になる可能性が高いと言えます。会社を成長させる意欲があるのであれば、経営そのものをしっかりと管理するため、一定の売上規模から消費税を本則適用して適切経理のベースを築くことが重要です。そのためには、税理士の関与が必要となってくるのです。
税金対策と経営という視点
特に中小企業の場合は、税制特別措置法の恩恵が大きく「中小企業経営強化税制」、「中小企業投資促進税制」、「商業・サービス業活性化税制」といった、「攻め」の経営を進めようとする会社に対する支援型の税制措置(従来からの時限措置の延長)が充実しているのが特徴です。これらの内容と、自社がどの措置を適用できるか(又は意図的適用の可否)を知り、自社の経営に有利に反映させるためには、税理士等専門家の介入が必要となってきます。
このような支援型措置がある一方、役員給与や交際費といった管理費用を損金算入するための基本的なルールや、中小企業倒産防止共済のような税金繰延型の方法など、一定の利益を上げながら、総合的対策を実践するためには、税理士の関与が必要となります。
まとめ・・・人件費と顧問料という視点
以上の3つの視点で捉えると、税理士は、専門知識とその的確な運用により、会社の成長と経営管理をサポートできる存在と言えるが、最後に残るのが、「費用」としての妥当性の問題かと思います。税理士の一般的な顧問料をみると、年間売上高が3,000万円~5,000万円規模で月額25,000円程度、決算と申告費用で別途15万円程度なので、年間45万円程度が必要です。
この売上高は、消費税を意識しなければならない水準にあるため、法人税と消費税の確定申告事務、そして、節税を含めた日常的な経理処理のチェック機能を考えれば、この部分で0.3人程度の従業員が必要となります。年間45万円の費用で従業員0.3人分の業務を正確にカバーし、経営の4大資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を一括して手に入れるという視点で検討してみると、必要性は高いと言えるのではないでしょうか。

今井 俊樹
ユーザーが本当に良い選択ができるマッチングサービスを作りたいという思いから、「税理士紹介ラボ」の立ち上げを起案。企業間のアライアンス事業や、WEBサービスの企画・運営を手掛けた経験を基に、依頼者と税理士がwinwinの関係になれるサービスを提供。500名以上の税理士と面談を行い、毎年3000件以上のマッチングを成功させている。
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