相続税と贈与税の基礎知識と比較Column

vol.0009
ラボン博士
今回は相続税と贈与税の話しをしようと思う。毎年手続きが必要な所得税等と違い、相続税なんかは人が亡くならないと登場しないし、贈与税についても馴染の薄い税じゃな。

相続税は、簡単に言えば人が亡くなり、その人の財産が、相続する権利のある者に移転する時に、「その財産」に課される税金じゃ。

そして、贈与税とは、基本的には、生きている間に財産を移転(生前贈与と言う)して相続税を逃れようとするのを防止するために設けられた税金なんじゃ。

だから、相続税も贈与税もともに、「相続税法」という法律に規定(相続税法第1条・趣旨)されているんじゃ。各税の概要を見てみようか。


1、相続税

一部の例外を除いて、「親族」が亡くなった時に登場する税で、亡くなった人を「被相続人」とよぶ。そして、相続で財産を受け継ぐ人を「相続人」とよび、相続人の範囲は民法で規定されているんじゃ。

このうち配偶者(内縁は除く)は常に相続人となり(民法第890条)、欠格事由などの例外を除いて子供も相続人となる。子が亡くなっている場合やその他のケースでは、代襲相続などで相続人の顔ぶれが変ってくるが、混乱すると思うので今回は触れずにおこうと思う。

次に、相続税の対象となるケースを見てみよう。


相続税課税のケース 内容
相続 被相続人が、遺言等で誰に財産を与えるのかを決めていなかった場合。法定相続人の間で「遺産分割協議」という話し合いをし、各人の相続財産を決めます。
遺贈
(いぞう)
被相続人が生前に「遺言書」を残していて、誰にどれだけ財産を与えるのかを決めてある場合。被相続人の一方的な意思で決まるケース。与える割合を指定する「包括遺贈」と財産を指定する「特定遺贈」がある。
死因贈与
(しいんぞうよ)
被相続人が生前に、自分が死んだときに財産を与える者との間で契約しているケース。遺贈との違いは、死亡を条件とした受取人との贈与契約であること。
生前贈与
(せいぜんぞうよ)
被相続人の死亡の日から遡って3年前の日から死亡の日までの間に、被相続人から贈与を受けた財産があるときは、その相続人の課税価格に贈与財産の価額を加算して計算される。(相続で問題となるのは下線部のみ)

以上4つのケースで、原則として、相続、遺贈又は死因贈与によって財産を取得した者が納税義務者となる。

そして、相続人には連帯納付義務(相続税法第34条)があって、自分以外の相続人が相続税を払わなかったとき、他の相続人と連帯して支払わなければならないんじゃ。


2、贈与税(遺贈・死因贈与以外=生前贈与)

贈与税は、「個人」が「個人」から贈与によって財産を取得した場合に、受贈者(受け取った側)にかかる税金なんじゃ。

これが、受贈者が個人で、贈与者が法人の場合は、贈与税ではなく所得税の守備範囲に入り、受贈者が法人の場合は、贈与者が誰であっても法人税の世界に入るんじゃ。

また、贈与は契約行為であり、贈与者が財産を与える意思表示をし、受贈者がそれ受け取る意思表示をしないと契約が成り立たないため、互いの意思を客観的に証明できる契約書を残すことが重要じゃ(法律上の契約は口約束も可)。

生前贈与は、相続税負担を軽減することを目的に、贈与契約を締結して、下記のように相続人に毎年預貯金の一部を贈与するケースが多い。

※贈与者と受贈者(配偶者又は子)との間で、現金〇〇万円を贈与する契約の場合。
贈与税は、課税価格〇〇万円-基礎控除(受贈者1人当り110万円)=〇〇万円×税率(10%)で算出される。

※契約は毎年締結し、実際にお金の移動が必要。贈与額を毎年100万円とした場合は、毎年の基礎控除の枠内に入って贈与税はゼロとなるが、例えば、100万円を10年間贈与するという契約内容にすると、定期金に関する権利(100万円×10年=1,000万円)を贈与したとみなされ、1,000万円が贈与対象となるので要注意。



3、相続税と贈与税の比較

項目 相続税 贈与税
関係者 法定相続人全員。遺言書や死因贈与契約等があると、法定相続人以外の登場人物が出現して厄介。 基本的に、個人対個人の契約行為なので登場人物が少ない。
手続き 相続財産を余さず調べる必要があり、事前準備が煩雑。財産の詳細とその証拠書類が揃ったら、遺言書のない場合は遺産分割協議後、申告書の作成に入る。申告書は、相続開始を知った時から10カ月以内に提出が必要。 必ず贈与契約書を作成し、その通り実行することが必要。基礎控除額を超える贈与の場合は、申告・納税が必要(贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までの間に申告書提出)
税金計算と税率 税金の計算には5工程ぐらいあって煩雑。税率は課税価額に応じて10%~55% 税率は、課税価格に応じて相続税同様10%~55%

概要は以上じゃが、相続は「争族」とも言われるようにトラブルが多い。多少税金がかかっても生前贈与の活用も有りだと思うが、どうじゃな?





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